鮎川義介の理念と「上徳如谷」

こんにちは。

王道學への理解を深めて頂くために、
今日は教義の中からエッセンスを1つ、
お伝えしたいと思います。

それは、この學問「王道學」を
直接的に私達に遺してくれた人物、

鮎川義介氏の事業哲学についてです。

それは、鮎川義介氏が、
わずか一代で三井・三菱を凌ぐ財閥・
日産コンツェルンを築き上げた
最大の秘訣とも言えるものであり、

現代社会が抱える問題を解決する上で
最も重要な哲学の一つとも言えるものです。

おそらくご存じないかと思いますが、

「上徳如谷」(じょうとくたにのごとし)

という、老子の言葉があります。

山が二つあるところに谷ができます。
山は目立ちますが、谷の存在に気付く人はまれです。

山には日の光が当たりますが、谷は日陰になります。

しかし、人が住みにくい山に比べ、谷は盆地や平野
として広がり、水を湛える川を育み、沢をつくります。

そこに動植物が自然に集まり、人々は住まいを作り、
農耕を営み、その豊かな恵みで生活していくことが
できます。

このように、

谷は自らを一切主張せず、何一つ自己の所有とせず、

人知れず生き物に豊かな環境と生活の糧を無償で
提供してくれます。

それはまさに、無償の愛そのものです。

「欲」という字は「谷を欠く」と書きます。

すでにお伝えしたように、
リーマンショックやコロナショックをはじめ、

現代の様々な問題を生み出した根本原因は、
人間の「欲」望にあります。

であるならば、その問題を解決するために、
もとを正す必要があります。

鮎川義介氏は、こんな言葉を残しています。

「己を空しうすることが、人の幾代かを要すると
 思われる大事業をもよく一代で成し遂げられる」

この哲学こそが、鮎川事業哲学の要諦です。

氏はまた、こんな言葉も残しています。

「終生富豪となることなしに天職を精進しよう。

 富豪心理はおおむね人をして利己的に堕し、
 人類に好ましからぬ悪徳をなさしめるもので、

それはひいては、その人のもつ天賦の才力の
 すべてを仕事に捧げようとする目的に対して
 むしろ邪魔になる。」

そして、この言葉の通り、
「上徳如谷」の言葉が表わすがごとく、

育成した企業に一切自らの名前を冠することなく、
(本田宗一郎氏が終生後悔していたことが、
 社名に自分の名前を冠したことだというのは
 有名な話ですね)

事業の成功を独り占めすることなく、
自分の子供達に会社を継がせることも
ありませんでした。

そして、日本全体の産業振興のために、
中小企業を守る数々の法律の制定に貢献
しました。

結果、現在の日産グループ・日立グループ各社
をはじめとする160以上の大企業と、
中小企業政治連盟を通じて数万の企業を育成。

まさしく、
「己を空しうする」ことによって、
人の幾代かを要すると思われる大事業を
一代で成し遂げたのです。

氏はまた、こんな言葉も残しています。

「天体の運行が万古不易の自然法則の
 下に為されるが如く、人界の経済現象も
 自然の摂理に従って推移するものである。」

結局、現代社会が直面している大きな問題も、
私達一人ひとりが直面している小さな問題も、

「自然の摂理」に反した結果、
生じたものだと言えるでしょう。

ごく当たり前のことのように
聞こえるかもしれませんが、

残念ながら、
そうした「当たり前のこと」が
忘れ去られてしまった結果が積み重なり、

いま手に負えないほど大きな問題が発生
しているのです。

なぜそうなってしまったのか、
どうすれば、この状況から脱することができるのか。

「自然の摂理」とは本当は何なのか。

WEBセミナー、そして本講座から、
その本質を学び取って下さい。

お役に立てることを、心より願っております。